研究テーマ全体概要
生体信号を駆使して「人間と機械をつなぐ」ことをテーマした福祉工学に関する研究をしています. 特に脳波を機器制御命令に変換するブレイン-マシン・インタフェース(BMI/BCI)の研究に重点的に取り組んでいます. また,関連分野である信号処理や機械学習,ロボット工学などの発展も重要であると考え, それら技術に関する研究も進めています. 近年,独居老人や留守番中の子供のためのコミュニケーションロボットに関する研究を立ち上げました. 今後はこれまで培った知見を生かし,様々な福祉機器の開発などへと発展させていきたいと考えております.
ブレイン-マシン・インタフェース(BMI)に関する研究
ブレイン・マシン-インタフェース(Brain-Machine Interface, BMI)もしくは, ブレイン・コンピュータ-インタフェース(Brain-Computer Interface; BCI)は 脳から生じる信号を機器の制御命令に変換するインタフェースです.
BMIの一例を図に示します. 人間の脳からは微弱な電気信号が生じていますが,これを脳波といいます. このBMIは頭皮に張り付けた電極より脳波を計測し, 信号処理や機械学習を施して機器の制御命令に変換します. 制御命令には,例えば車いすを前後左右に動かす命令や, ロボットアームを動かし物をつかむ命令, スピーカーから合成音声や音楽を再生する命令などを 用意することができます. このようにBMIを用いると, 脳波を用いて機器を操作することができます.
事故や病気などで手足が不自由となっても, BMIを使えば手足を使わず福祉機器を制御することや, 口を使わずに意思を伝達することが可能となります. そのため,BMIは重度運動機能障碍者の 自立や生活の質の向上につながると期待できます.
- P300-based BMIとは
- 顔画像を用いたERP-based BMIに関する研究
- P300-based BMIのための集合識別器に関する研究
- 情動音を用いたBMIに関する研究
- ポジティブとネガティブの程度の違いが情動音BMIに及ぼす影響
福祉機器開発のための信号処理・機械学習に関する研究
福祉機器は機械により小さな力を大きな力に変換するだけでなく, 脳波のような微弱な電気信号を他の信号に変換するなどして, 残存機能を有効活用する技術も用いられています. 特に脳波や筋電などの生体信号を活用する福祉機器の開発には 生体信号を加工して特徴をはっきりさせる技術(信号処理の一種)や, 生体信号をカテゴリに分類する技術(機械学習の一種)の発展が重要になります. そのため私はBMIをはじめとする福祉機器開発に貢献するような 信号処理や機械学習の手法について研究しています.